超長期ローン、本当にお得?知らないと怖いポイントとは

最近、住宅ローンの広告で「40年ローン」「50年ローン」という言葉を広告などで見かけたことはありませんか?
これまで主流だった35年ローンをさらに超える長期ローン。毎月の支払いが少なくなるなら…と、ちょっと惹かれてしまう気持ち、よくわかります。
でも、ちょっと待ってください。
長く借りれば借りるほど、本当に自分にとってプラスなのでしょうか?
今回は、超長期ローンのメリットと見落としがちなリスクについて、ファイナンシャルプランナーの視点からお話しします。
50年ローンは“安心”か?毎月の支払いが軽くなるワケ
誰だって住宅ローンは、できるだけ月々の負担を減らしたいもの。
そのため、借入期間を長く設定することで月々の支払金額を抑えるという選択肢が出てきます。
たとえば30歳で50年ローンを組むと、完済は80歳。確かに月の返済は軽くなりますが、定年後もローンが続くという現実も見逃せません。収入が減った老後に住宅ローンを払い続けることは、家計にとって大きなリスクです。
住宅ローン控除の“甘い罠”
最近は、ハウスメーカーや銀行が「住宅ローン控除を最大限活用しましょう!」と超長期ローンを勧めてくることも。
確かに、住宅ローン控除は毎年の年末残高で控除額が決まるため、残高の減り方が緩やかな超長期ローンは節税が期待できます。でもここが落とし穴。
「控除があるからお得!」と一見感じても、実際は金利の支払総額や老後の負担がかえって増えている…なんてこともあります。
特に今は金利が上昇傾向にあるので、数十年先の金利がどうなるかは誰にも読めません。ローン期間が長いほど、その影響を強く受けるリスクがあるんです。
老後破綻に要注意
ここで、具体的な数字を見てみましょう。
例えば、現役時代の年収が600万円だった場合、年金で受け取れる金額はおおよそ240万円前後。
もし、月10万円の住宅ローンが老後も続いていたら、年金の半分近くがローン返済に消えてしまう計算です。
さらに、家は「買ったら終わり」ではありません。
築30年、40年と住み続ければ、リフォームや修繕が必要になるのは当然のこと。大規模な修繕には数百万円単位の出費も考えなければなりません。
老後の収入が限られた中で、ローンと修繕費のダブルパンチ…。これは本当に無理なく払えるのか?しっかりシミュレーションが必要です。
親子リレーローンは“家族の絆”?それとも負担?
超長期ローンのもうひとつの選択肢として、親子リレーローンもあります。
親がローンを組み、完済前に子どもへ引き継ぐスタイル。かつてのように3世代同居が当たり前だった時代には理にかなった仕組みでした。
しかし、今は核家族化が進み、子どもが独立後に同じ家に住み続けるとは限りませんよね。さらに、親が亡くなればローンは相続財産扱いになります。
相続放棄すればローンの負担はなくなりますが、同時に家も手放すことに。
「子どもに家を残したい」と思っていても、逆に子どもに負担をかけてしまうケースがあるのです。
超長期ローン、決める前に見直したい4つのポイント
もし超長期ローンを検討しているなら、次の4つの視点で見直してみましょう。
1. 老後の生活
自分の会社の退職規定を知っているか?
老後の年金制度を考えたことがあるか?
2. 総支払額の比較
35年・40年・50年ローンで、最終的にどれだけ支払うことになるか?
自分や配偶者が払っている所得税がいくらなのかを知っているか?
3. 変動金利リスク
変動金利の仕組みとそのリスクを理解しているか?
4. ライフスタイルの変化
特例を除き住宅ローンを払っている間は住所を移転できない。転勤や転職、家族構成の変化(増も減もある)を考えたことはあるか?
迷ったときは、プロに相談を
超長期ローンは、確かに「月々の返済が楽になる」という魅力があります。でも、その裏側に潜むリスクは見逃せません。
目先の負担軽減にとらわれず、「この家でどう暮らしたいのか」「老後も安心して暮らせるのか」をしっかり考えたうえで判断することが大切です。
もし、「自分たちだけではよくわからない…」と思ったら、無理せず専門家に相談してみてください。
ファイナンシャルプランナーなら、家計やライフプランに合わせて、無理のない最適な選択を一緒に見つけるお手伝いができます。