住宅ローン、固定金利?変動金利?~迷ったときに大事なこと~

「住宅ローンって、固定金利と変動金利、結局どっちがいいんですか?」
ファイナンシャルプランナーとしてよく聞かれる質問ですが、実は「これが正解!」とは簡単に言えません。というのも、金利の将来は誰にも正確には予測できませんし、家計の状況も家庭によって大きく異なるからです。
住宅ローンは長期にわたる契約。選ぶ金利タイプによって、家計やライフプランにも大きく影響します。
最近の金利事情…固定が安心?変動が得?
ここ最近は、少しずつ金利が上昇しています。
たとえば、フラット35の固定金利は約1.94%、民間銀行の固定も1.9%前後。一方で、変動金利は0.6%を切るケースもあり、その差は約3倍にもなります。
「固定金利=安心」とよく言われますが、そのぶん月々の返済額は増加。反対に、変動金利は今はお得感がありますが、将来の金利上昇リスクを伴います。
例えば、半年ごとに0.15%ずつ金利が上がった場合、5年で1.5%アップ。0.55%で借りていたローンが、5年後には2%以上になる可能性もあるんです。
金利が決まるタイミングにも注意!
あるお客様は事前審査時には0.45%で承認を受けていましたが、本申込時には0.7%、さらに半年後には0.9%に…なんてケースもありました。返済額自体は変わりませんが、金利としてはかなりの上昇です。
当時、私は他の銀行をご提案していましたが、「給与振込の変更が面倒」との理由で、事前審査の銀行を選ばれました。結果として、私がご提案した銀行に比べると月々の返済が約5,800円増えることに。
一般的にはフラット35のような全期間固定型は「実行時の金利」、民間金融機関は「本申込時の金利」が適用されることが多いです。これは金融機関や商品によって異なるため、必ず事前に確認するようにしましょう。
教育費と家計のバランスも考えて
「子どもの進学時期と、住宅ローン金利の上昇が重なったら家計が心配…」という声もよく聞きます。
ですが実際には、進学費用よりも、塾・習い事・部活動といった“学外活動費”の方が家計にじわじわ効いてくることも。
家族でよく話し合い、「家計の身の丈に合った選択」を心がけることが大切です。
また、変動金利には「金利が上昇しても、5年間は毎月の返済額が変わらない」という仕組みがあります。この5年間を活かして、家計の見直しや繰り上げ返済などを積極的に進めていくことが、将来的なリスクに備えるポイントになります。
変動金利の上昇への対応策は、結局のところ「繰り上げ返済」だけなのです。
結局、大事なのは「自分の家計に合っているか」
SNSや動画では「固定が安心!」「変動が得!」と断言されているのを見かけますが、それを鵜呑みにするのは危険です。金利の選び方は、家計・収入・将来設計によって大きく変わります。
ちなみに、私のところでは「固定と変動、どっちがいいですか?」という単体のご相談は基本的にお受けしていません。
というのも、金利の選択は家計全体のバランスや将来設計を見ないと、正しい判断ができないからです。
だからこそ、周りの声に流される前に、自分の家計をじっくり見直すことが大切。でも、「家計のことって正直よくわからない…」という方も多いはず。
そんなときこそ、私たちファイナンシャルプランナーの出番です。
あなたの収入や支出、今後のライフプランを一緒に整理しながら、「どの選択肢が一番安心できるのか?」を見つけていきます。住宅購入は、ゴールではなく新しい生活のスタート。住宅ローンを借りたあとも安心して過ごすために、プロに頼ってみるのもひとつの手ですよ。
※本記事の金利情報はすべて2025年4月時点のものです。