「金利が上がる」時代、固定金利フラット35は今、得なの?損なの?

最近、「金利が上がるらしい」というニュースを、よく見かけませんか?
住宅ローンを検討中の方の中には、「今ローンを組んで大丈夫?」と不安に感じている方も多いはず。

そんな中で注目されているのが、金利が変わらない固定金利の【フラット35】。
「固定金利だから安心!」というイメージがありますが、果たして本当にそうでしょうか?
今回は、変動金利との違い、そしてあまり知られていない「審査金利」というカラクリについてお話しします。

なぜ今、固定金利が話題なの?

まず背景を少し。
ここ数年、国の金融政策は大きく動いていませんが、国債の金利(=市場の基準金利)はじわじわ上昇しています。「将来的には金利が上がるかも…」という見方が強まっているので、固定金利のフラット35が注目されているのです。

でも現場で相談を受けていると、実際に選ばれるのは圧倒的に変動金利が多いんです。相談者の9割以上が変動金利を選んでいる印象です。
また、ハウスメーカーさんや銀行の担当者も、だいたい変動金利をすすめてきます。理由は簡単で、今の金利が低く見えるから。
やっぱり現時点での「月々の返済が安い」というのは魅力的ですよね。

知っておきたい「審査金利」というカラクリ

ここでちょっとややこしい話をします。

フラット35と変動金利ローンを比べると、実は「審査に使う金利」が違うんです。
たとえば変動金利の場合は、実際の金利が0.8%だったとしても大抵の場合、「3.0%程度の金利でも返済可能な年収かどうか」を審査しているようです。一方フラット35は、申込時の金利(たとえば1.90%(2025年11月時点))で審査します。

1.90%と3.0%の違いは意外と大きく、同じ年収でも、フラット35の金利が銀行の審査金利より低ければ、フラット35の方が多く借りられるということです。
たとえばフラット35のローンシミュレーションサイトで計算してみると、年収460万円の場合、
・変動金利の審査(金利3.0%):3,486万円
・フラット35の審査(金利1.9%):4,113万円
と、借入できる金額に600万円程度の差が出てきます。

「じゃあフラットの方が得じゃん!」と思うかもしれませんが、ここにも注意すべき点があります。

フラット35の安心には注意点も

フラット35は「固定金利でずっと安心」が売り文句ですが、実はいつの金利が固定されるかがポイントになります。

フラット35では、融資が実行される時点の金利が適用されます。注文住宅の場合、ローンを申し込んでから家が完成して実際にお金が動くまで、半年くらい空くことが多いですよね。そのため、その間に金利が上がると、当初の想定より返済額が高くなることもあります。
たとえば、申し込み時は金利が1.90%だったのに、引き渡しのタイミングでは2.5%に上がっていた、なんてケース。
こうなると「固定金利の安心感」はあるものの、返済額は想像よりずっと高くなります。

一方の変動金利は、申し込み時の金利が半年ほど保証されることが多いので、初期の変動は少なめです。

つまり、「固定=安全」とは一概には言えないんですね。
しかも最近は子育て支援や省エネ住宅の優遇制度などが加わって、フラット35の金利体系はかなり複雑…。
正直、一般の人が一人で完璧に理解するのは無理に近いと思います(笑)

変動金利は攻めのローン、でも作戦が大事

変動金利の魅力は、なんといっても金利の低さ。

今は0.8%前後の銀行も多く、最初の5年間は返済額が変わらない(一部の銀行を除いて)というルールもあります。
その間、金利と元本の割合が半年ごとに変わる仕組みです。そして仮に5年後に金利が大きく上がっても、返済額の増加は前回返済額の125%までと制限されています。
ただし金利が上がれば当然、月々の返済額が一定でも、利息の割合が少しずつ増えていきます。

だからこそポイントは、金利が低いうちに繰り上げ返済で元本を減らすこと。ここを頑張ると、将来的な金利上昇にも耐えやすくなります。
変動金利は「上昇リスク」とうまく付き合うローン。低金利を活かして早めに返済できるか、上昇時に耐えられるかを考えましょう。

結局、どっちがいいの?

これはもう、その人次第です。
どちらの金利も一長一短があるので、「どこまでのリスクなら許容できるか」が大事。フラット35が得か損かは、金利の動きだけでは決まりません。
「金利が上がっても慌てない家計づくり」をしておけば、どちらを選んでも後悔しないはずです。

まずは各銀行のサイトでローンシミュレーションを使い、金利が1%上がった場合の返済額を試算してみましょう。そこから、あなたに合ったローン選びが見えてくるはずです。

参考サイト:金融広報中央委員会「知るぽると」(外部サイト)

「金利が上がっても、生活がカツカツにならないか?」
「もし夫婦どちらかが休職しても返していけるか?」
そんな現実的な視点で考えてみてください。

もし「自分たちにはどっちが合っているのか分からない…」という方には、中立的な立場のファイナンシャルプランナーへの相談がおすすめ。
銀行や住宅メーカーの担当者とは違い、「どっちを選ぶか」よりも「どんな返済計画なら安心できるか」を一緒に考えてくれますよ。