家が完成する前にお金が必要!?つなぎ融資・設定前融資・都度融資をわかりやすく解説!

「注文住宅を建てたい!」と思ったときに、意外と悩ましいのがお金の支払いタイミング。土地代に着手金、中間金…家が完成する前からけっこうな出費がありますよね。
でも、フラット35のような住宅ローンは「建物が完成してからじゃないと融資できない」というルール。
つまり、「お金を払わなければならないのに、ローンはまだ実行されない…」というズレが発生してしまうんです。
このタイミングのズレを埋めるために登場するのが、「つなぎ融資」「設定前融資」「都度融資」という3つの方法。
名前だけ聞くとややこしそうですが、実はどれも支払い時期を調整するための手段です。実は、最終的な支払い総額は、どの方法を選んでもほとんど変わらないんです。
では、それぞれどんな仕組みで、どこが違うのか?をわかりやすく解説したいと思います。
【1】つなぎ融資:ローン実行までの橋渡し
まずは一番よく聞く「つなぎ融資」。
これは、フラット35など完成後にしか融資が出ないローンを利用する際には、ほぼ欠かせない仕組みです。
仕組みはシンプル。家が完成するまでの間、別の短期ローンで一時的に立て替えてもらうイメージです。そして建物が完成したら、本番の住宅ローンを実行して、そのお金でつなぎ融資を一括返済します。
つなぎ融資の大きな特徴は、手続きが比較的スムーズで、抵当権の登記を1回で済ませられること。建物完成後にまとめて登記するため、登録免許税が0.1%に軽減される制度(住宅用家屋の登録免許税の軽減措置)も利用できます。
その一方で、短期間でも利息や手数料が発生します。つなぎ融資は建物がまだない段階でお金を貸すため、銀行にとっては無担保の短期ローン扱い。その分、利息や手数料はやや高めに設定されます。
【2】設定前融資:早めに借りられるけど、税金がちょっと高め
次は「設定前融資」。
こちらは民間銀行がよく採用しているタイプで、家が完成する前でもローンを一部使えるのが特徴です。
たとえば、土地代を支払う段階で住宅ローンの一部を先に実行してもらう形。そのかわり、担保として土地に抵当権を設定します。銀行としても安心なんですね。
ただし、この方法の注意点は登録免許税。建物がない更地の段階で抵当権を設定するため、つなぎ融資で使える「登録免許税が0.1%に軽減される制度」は使えず、通常の0.4%が適用されます。
【3】都度融資:支払いごとに少しずつ借りるタイプ
最後は「都度融資」。
名前の通り、建築の進み具合に合わせて支払いのたびに少しずつローンを実行してもらう方法です。
たとえば、
・土地代
・着手金
・中間金
・完成時
といったタイミングごとに、住宅ローンを何回かに分けて実行します。
メリットは、必要なときに必要な分だけ借りられるので資金管理がしやすいこと。
ただし、銀行はそのたびに抵当権を設定するため、司法書士への手続き費用が複数回発生します。書類のやり取りも増えるので、ちょっと手間がかかるのがデメリットです。
まとめ:費用のかかり方が違うだけ
ここまで3つの方法の特徴を説明してきましたが、違いをまとめると次のとおりです。
| 方法 | いつ借りる? | 抵当権の設定 | 注意点 |
| つなぎ融資 | 建物完成前 | 完成後に土地+建物へ1回 | 銀行に支払う利息・手数料がやや高め(無担保短期ローンのため) |
| 設定前融資 | 土地購入時など早い段階 | 先に土地へ設定(特例なし) | 国に支払う登録免許税がつなぎ融資に比べると高い |
| 都度融資 | 支払いごとに借りる | 都度設定(複数回) | 司法書士に支払う登記費用が複数回かかる |
最終的な負担はほとんど同じで、費用のかかり方が違うだけなんです。
実は、これらの融資は「どれが一番お得か」を選ぶものというより、住宅ローンの種類や金融機関が決まった結果、自然に決まることが多いんです。
本来は、まず「自分たちにとって返済しやすい住宅ローンはどれか」(変動か、固定か、フラット35か)を考え、その商品を扱っている金融機関が決まり、その流れで中間資金の方法が決まる、という順番が理想です。
ただし実際には、手元資金の余裕や収入状況などによって「まず貸してもらえる金融機関が決まり、そこから商品・中間資金の支払い方法が決まる」というケースも少なくありません。
だから、「つなぎ融資か、設定前融資か」で悩みすぎなくても大丈夫。
大切なのは、どれが一番安いかではなく、今の自分たちにとって無理のない進め方かどうか。中間資金の仕組みをあらかじめ知っておくだけでも、打ち合わせのときに落ち着いて判断できるようになります。
家づくりは、「どんな家を建てるか」だけでなく、資金計画もとても大切。いろいろな仕組みを知っておくことが、安心につながりますよ。
