住宅ローン審査は年収だけではない?土地選びで確認したいポイント

住宅ローン審査というと、年収や勤務先、勤務年数など、自分自身のことばかり気になる方が多いと思います。でも実は最近、購入する土地そのものが住宅ローン審査に影響するケースも出てきています。
今回は、住宅ローン審査で土地も見られるようになってきた背景と、確認しておきたいポイントについてお話しします。
住宅ローン審査で土地も見られるようになってきた理由
以前は、契約者が保証会社に保証料を支払うことで、万が一返済が困難になった場合には、保証会社が金融機関へ代わりに立て替えて返済する仕組みが一般的でした。
でも、コロナ以降、保証会社を介さずに金融機関自身がリスクを負う住宅ローンが増えてきています。三重県内で見ると、百五銀行・三菱UFJ銀行・住信SBIネット銀行は金融機関自身がリスクを負うタイプ。一方、三十三銀行・東海労働金庫(ろうきん)・JA・十六銀行・桑名三重信用金庫・北伊勢上野信用金庫は保証会社を介して住宅ローンを組みます。(2026年6月時点)
このように、金融機関自身がリスクを負うケースが増えたことで、「万が一返済できなくなっても、この土地なら回収できるか」を重視するようになってきています。
住宅ローン審査で通らない理由が「土地」の場合もある
住宅ローン審査で「総合的な判断により、ご希望に添えませんでした」と言われると、「年収が足りなかったのかな」「信用情報に問題があったのかな」と思いますよね。
もちろんそれらも重要ですが、実は担保となる土地の評価が十分でなかったことが影響しているケースもあります。
金融機関は土地をそのままの価格で評価しているわけではなく、一般的には土地価格の7割程度、新築住宅の建物部分なら8〜8.5割程度が担保評価の目安です。不足する部分は年収や返済能力などを含めて総合的に判断されます。
評価基準は金融機関によって違いますが、土地の条件も住宅ローン審査の一つの要素になっています。
その審査で使われるのが、自治体が公表しているハザードマップです。ハザードマップは、洪水・津波・土砂災害・液状化など、その土地にどのようなリスクがあるかを色分けして表示している地図で、国土交通省のポータルサイトでも確認できます。
▼ハザードマップポータルサイト
https://disaportal.gsi.go.jp
特に土砂災害特別警戒区域など、危険とされる区域(レッドゾーン)は、金融機関によって担保評価が慎重になることがあります。さらに、レッドゾーン内の新築住宅(建替えは除く)は、2028年(令和10年)入居分以降は住宅ローン控除の対象外になります。これから土地を探される方はこのことも含めて検討するとよいでしょう。
▼国土交通省:住宅ローン減税等の住宅取得等促進策に係る所要の措置
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001975750.pdf
なお、住宅ローン審査自体は今のところ「レッドゾーンだから組めない」という状況ではなく、年収や返済能力も含めて総合的に判断されます。不安な方はプロに相談しながら進めるのもおすすめです。
ハザードマップは「住める・住めない」を判断するものではない
ここまで聞くと、「ハザードマップに色が付いている土地には住まない方がいいの?」と思うかもしれませんが、私はそうは考えていません。
日本は地震や台風、大雨など、自然災害の多い国です。災害リスクがまったくない土地を探すことは、現実的には難しいですよね。
だからこそ、「リスクがあるから住まない」ではなく、「どのようなリスクがあり、どう備えるか」を考えることが大切だと思っています。
例えば、水害リスクがある地域なら、
・どの方向に避難するのか
・避難所はどこか
・車で逃げるのか、徒歩で逃げるのか
こういった避難計画まで考えておくと、安心して暮らせるでしょう。
気に入った土地が見つかったときには、自然災害のリスクについて、ハザードマップで一度確認しておくことをおすすめしています。
古地図を見ると、土地の歴史が分かる
災害リスクを考えるうえで、もう一つ確認しておきたいのが昔の地図です。
例えば三重県では、四日市市の海側などは埋め立てられた土地が多い地域です。埋立地や昔は川だった場所などでは、地盤改良工事が必要になり、数百万円の費用がかかるケースもあります。
古地図は、国土地理院の「地理院地図」や自治体が公開している資料などで確認できます。
▼国土地理院サイト
https://www.gsi.go.jp/tizu-kutyu.html
▼古地図コレクション(国土交通省 国土地理院)
https://service.gsi.go.jp/kochizu/app
また、地図と合わせて「地名」も参考になります。地名には、その土地の歴史が残っていることがあるからです。
例えば、「池」「田」「沼」「谷」といった漢字が含まれる地名は、かつてそこに池や田んぼ、谷があったことを示している場合があります。地盤が弱かったり、切土・盛土で造成された土地だったりするヒントになることもあるんです。
また、現在の住所とは別に旧地名が謄本に残っているケースもあります。
気になる土地があれば、現在の地名だけでなく旧地名や地名の由来も調べてみると、土地の歴史が見えてくることがあります。ChatGPTなどの生成AIやインターネットを使って調べてみるとよいかもしれません。
さらに、他県から見ると人気の住宅地や高級住宅地に見えても、昔から住んでいる人だけが知っている「以前は地滑りがあった」「断層が近い」といった土地の歴史があることも。
地域に詳しい不動産会社や住宅会社であれば、「昔はどのような土地だったのか」を教えてもらえることもあります。これから住宅購入のための土地を探す際には、こんなことを聞いておくと、より安心して購入ができるでしょう。
「ハザードマップではどうなっていますか?」
「この土地の歴史や、昔どのような土地だったか知っていますか?」
まとめ:土地選びは住宅ローン審査にも、暮らしの安心にもつながっている
「土地選び」と「住宅ローン」は別々に考えがちですが、実は密接に関係しています。
ハザードマップなどでリスクを確認しておくことは大切ですが、必要以上に心配しすぎる必要はありません。調べれば調べるほど不安になって、「どこも買えない」と感じてしまう方も少なくありません。
命より大切な家はありません。万が一災害が起きたときは避難して、必要であれば住み替えるという選択肢もあります。
だからこそ、住みたい街を選んで、ハザードマップでリスクを把握して、災害時の備えを考えておく。それが大切だと思っています。
「どの程度のリスクなら大丈夫なのか分からない」という方は、ぜひプロに相談してみてください。
